デザイナーとしてこれまで数々の方と出会い、gridGraphic設立20年を機に、改めてお話ししたいと思う方を訪ねる企画「デザインの余白 人と人、その間にあるデザインのはなし」の第二回目のゲストは、活版印刷のりてん堂店主であり、グラフィックデザイナーでもある村田良平さんです。
雑誌の仕事で出会う
チャンドラーを操る村田良平氏
村田さんと出会ったのは、雑誌(MOOK本)の仕事でしたよね。僕が京都の料理本のデザインを担当した時。ページ数が多くて時間もないというので、デザインというよりは、ディレクションを担当することになって。その時に紹介されたんでしたね。
あの時は、僕も雑誌社の仕事をはじめて、まだ日が浅かった頃だと思います。
20年くらい前かな。僕も独立してすぐの頃で、まだ京都のデザイン界のことなんかも、あまり分かってなかった。
雑誌まるごと一冊をデザインする仕事は、僕がディレクションをする形でデザイナーと一緒にやっていたんですが、書体や合成フォントの組み合わせ、文字詰めの辺りにすごく違和感がありました。どれも写植指定をやっていたら、当たり前にできることなんですけど。
そんな時に村田さんをご紹介いただいて。「こんなに細かくて、ややこしい指定をできるのかな」って思ってたんだけど、きっちり仕上げてこられて。
「ちゃんと分かっている人が、京都にもいるんや!」とある種の衝撃を受けました。
ありがとうございます。
普通は文字組みって、出版社ごとにある程度決まっていますよね。なので、あのMOOK本の仕事の時も「字の組み方はどうしますか?」って聞いたんですけど、担当さんに「いや、どうやったかな」って言われてしまって。
禁則処理すら決まってなかったもんね。
そこからMOOK本や雑誌のデザインを何回か担当したけど、レイアウトや写真の撮り方がしっかりと決まっていなくて、ちょっとバラバラしてた。当時はその雑誌社自体も誌面のデザインとか、タッチというか料理写真の撮り方なんかを確立して行きつつあるときだったんだよね。村田さんは、どこからの紹介だったんですか。
友人が営業の仕事をしていて、あの雑誌社も担当していたので、そこから紹介してもらったんです。最初はお試しで、広告ページの仕事をちょっとやってから、雑誌のページをやらせてもらいました。
そのころ僕は編集プロダクションにいたので、先方も僕が文字組みができるということを知っていたと思います。
その当時はまだ会社に在籍していたと。そこから何年後くらいに独立したんですか。
そうですね、10年後くらいに独立しました。
村田良平(むらた・りょうへい)氏
グラフィックデザイナー
1974年 京都生まれ。
創造社デザイン専門学校卒業。
グラフィックデザイナー、エディトリアルデザイナーを経て、
グラフィックデザイン工房「りてん堂」を設立。
活版印刷とデザインで、心にのこることばを制作している。
りてん堂
〒606-8115 京都市左京区一乗寺里ノ西町95
TEL./FAX.075-202-9701