001 杉木源三氏|スペースデザイナー

生涯現役、一案勝負

大衡

いつまでデザインをしはるんですか。生涯現役ですか。

杉木

いや。いつも飲んだら言ってるように、物売りをしてみたいなと。アートとかね。ただ仕入れたものを売るんやなくて、ちゃんと作られたものを売って、時には「こんなことできない?」っていうのにゆっくり取り組んでみるとか。
なんとなく、そういう感じにシフトしたいなって思ってきたけど、未だにできひん。

一人やったら自由にできるって話なんやろうけど。下の倉庫も、物がだいぶ増えたし、ずっと何とかしようと思ってるんやけどね。あれを捨てるのも大変や。

大衡

ぜひ、やってください。最近思うんですが、人は永遠に生き続けられないし、いつかは死ぬじゃないですか。そして、デザインをやめないといけない時が来ると思うんです。

その時に何十年もお付き合いして頂いてるクライアント=企業というのは、僕が死んでもずっと続いていくと思うんですね。そうすると、いつか僕じゃない人にデザインを引き継ぐことも必要になると思っています。

杉木

僕は30周年(スペースの創立記念)の時も言ったけど、世間がどう思ってるか分からないけど、デザインというのは年齢とは関係ないと思う。

例えば、70歳やからこんなデザインしかできないということはない。多分こうやろな、こんなんちゃうかなとか、色々と情報を集めてできてしまうと思う。

大衡

多分、そういう意味では死ぬまでデザインはできますよね。そして、デザインを続けていくためには、日々新しいものを仕入れたりとか、見えない努力を続けていくってことなんですけど。

ただ、急に倒れたりとかした時にデータなんか誰も分からなくて、迷惑を掛けてしまうことはあるかも知れませんね。その時のための用意をしなければと、最近考える時があるんですよね。

それは僕に子供がいなくて、例えば家のことをどうすんねんって事に直面した時に思ったんですけど。

杉木

まぁ、自分が死んだらどうなるんやろうとか思ったりするけど、結局何とかなっていってる。

大衡

そうなんですけどね。なんとかなるんですけどね。

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