この企画の最初は、やはりこの方しかいません。「デザインの余白 人と人、その間にあるデザインのはなし」第1回目のゲストは、プロのグラフィックデザイナーとして、仕事との距離感や方向性、また三次元の空間と平面デザインの関わり方、京都での作法のようなことや世界感を教えてくださった、SPACEの杉木源三さんにお願いしました。
出会いから20年。平面から空間を意識する切っ掛け
独立してからの20年を振り返ると、やはり杉木さんとの出会いが大きくて、僕のデザイナー人生でのターニングポイントだったと思います。確か2000年だったと。
そんな前になるかなぁ。
はい。杉木さんがCN-JAPANのDMを見て「これをデザインしたのは誰や?」と仰って、藤村さん(CN-JAPAN代表)に紹介していただきました。 そして、その2年後には「WA-Qu 和空」結成というとても早い展開でしたね。
そこから今もこうしてるということか。20年って早いね。
そうですね。早いです〜。有り難いことに、その頃杉木さんにご紹介いただいたクライアントとも未だにお付き合い頂いています。
それまでも飲食店の仕事をしていましたが、空間やインテリアとは関係なくロゴや案内状、ショップカード、パッケージといったグラフィックデザインを単体で考えることが殆どで、インテリアデザイナーや建築家と連携するということはありませんでした。
杉木さんと一緒にお仕事をする場合、店舗の設計段階(コンセプトや空間のデザインが出来上がる前)からグラフィックデザインも一緒に関わるというスタイルで、これは初めての経験でした。
僕が東京時代に勤めていた事務所での仕事が、空間やグラフィック、その他の色んなものを同時に進めていて、たくさんの人間が次々と仕事のカテゴリに関わらず動いていたので、グラフィックと空間を分けて考えるということはなかった。
そして、京都へ帰ってきた時にグラフィックや空間、建築、アパレルなど、みんなバラバラに仕事をしてるということに気づいて、なんでだろうかとずっと考えてた。
その後、京都で空間デザインをやり始めた時、周りを見ても何か「ベタッとした和」しかなくて、なぜスッキリしたものがないのかと思っていた時にあのDMがあって、「間が良い」というかベタな和じゃなくてバランスが良いなと。筆文字を使ってるのにどこか洋というか、余白があってスマートでモダンな和の感じが気に入って声を掛けたんや。
その当時、杉木さんがデザインされたお店(のスタイルなんか)が今や当たり前になってますが、文字通りモダンな和の空間で、自分がその空間を考慮して建築家や空間デザイナーと一緒に仕事をするという経験がなかったので、もの凄く勉強になりました。
まず平面図の見方も知らなかったし、自分がデザインをするという視点で空間を見たことはなかったですね。
杉木源三(すぎき・げんぞう)氏
京都市生まれ
1974年 武蔵野美術大学 造形学部 建築学科卒業
株式会社CAN設計事務所(東京)入社
1985年 スペースデザイン・バーン(京都)設立
1986年 株式会社スペースに改称
受賞歴
2006年 日本ディスプレイデザイン協会ディスプレイデザイン優秀賞
株式会社スペース
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